片付け
「片付けられない女たち」が話題になったのは一体いつだったのでしょう。
その本が世に出たとき、私のことだと思いました。
小さいころから自分の部屋を片付けることが出来ませんでした。
母がいたから何とかなったものの、高校卒業後一人暮らしを始めたとたん、乱雑な部屋になるのは時間がかかりませんでした。
生ごみ等は始末していたのですが、整理整頓ができないうえ、掃除の仕方もわからなかったのです。
フロアを丸くはくのも無意識でした。
トイレや浴室はやることが決まっているので方法はわかるのですが、他の人よりは大雑把だったと思います。
友達の部屋を見たとき、ホテルのようなシンプルで物のない部屋に逆に圧迫感を感じてしまいました。
ハムスターが自分の周りをティッシュで囲むように、周りに自分の物があふれていないと不安になってしまうのです。
物を引き出しに入れてしまうと物の存在を忘れます。
引き出しにメモをつけていたこともありますが、本当は全ての物を平面に置いていきたいのです。
そうしてやっと物の把握ができるのです。
使ったものを元に戻すこともできません。
今使ったことも忘れ、自分の視界からは存在が消えてしまうのです。
その本を見ることは、知りたくない自分がいるようで見ることが出来なかったのでした。